怪文書を執筆する話

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注意:本話はあなたを不快にする恐れがあります。

なんか気づいたらリレー小説を書くことになりました。しかし、私は鉄球連盟の皆さんのようにアダルトゲームとか催眠音声とかを体験したことは無いですし、鉄球連盟の皆さんのように触手とかラミアとかが大好きではありません。



というか反出生主義を拗らせて、あらゆる「そういう描写」が無理になっています。


具体的には18禁描写は全部無理です。少年誌のちょっと際どい描写より上は受け付けません。なぜ私がR18リレー小説を書くことに? 鉄球連盟に書かせようと言い出したから……? まあそんなわけなので、あまり期待せずに読んでください。あ、18歳未満の方はお読みいただけません。

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解説&感想

自分で提案しておいてなんですが、リレー小説というのは大変です。みんなが好き勝手に好みのキャラや展開を書いたらめちゃくちゃな物語ができるに決まっています。ゆえに、第1話を書く前にきちんと全員の書きたいものを踏まえた上でプロットを練る必要があります。できれば全員で意見交換するべきですが、今回は私一人でプロットを書きました。彼らの性癖談義に混ざりたくなかったので。一人でするにしても、鉄球連盟でもない人間がするべき役割では無い気がしますが…… でもまあ、多分なんとかなるんじゃないですかね。

ということで、私が想定していた物語の展開の話をしたいと思います。

まず、世界観を考えます。今回はリレー小説なので、テンプレート通りの世界観の方が良いでしょう。定番といえば学園ものという気がしますが、鉄球連盟がゲームサークルであることを考えると異世界ファンタジーがふさわしいかもしれません。去年のアドカレを参考にすると、ゆかりおんさんが異世界ファンタジーカプチーノさんが学園ものの世界観で話を書きそうです。正直彼らはどっちでも大丈夫そうですが。私はどちらかといえば学園ものがいいですね。ゆかりおんさんたちが空の上でバトルしている間、私は現実の学校でバトルしていたので。たぶん読む側が一番読みたいのはR18シーンだと思うので、とにかくどんな話でも書けるように、異世界と現実世界を接続した大体何でもありの世界観にしました。

次に大まかなストーリーを考えます。おそらく毎話ヒロインが非処女になるので、追加ヒロイン加入シーンを最初に考えました。それが最初なのかと思われそうですが、仲間を1人増やすのは結構大変です。単に行動を共にするビジネスライクな関係ならともかく、仲間となると主人公たちと問題意識を共有しなければいけないからです。例えば「俺ら、マジで海外旅行狙ってンだよね〜。つか、パーティ組まね(笑)」みたいなキャラは本質的に目的が違うので一時的な協力関係にしかなりませんし、「こんな数合わせみたいなキャラが本当にストーリーに必要なのか?」と読者から思われてしまいます。
しかし、ヒロインが登場して主人公たちと問題意識を共有、仲間になるまでを1話で描写し、かつR18シーンを割り込ませるのはちょっと困難です。そこで、ヒロイン登場→R18シーン→問題意識共有という一連の流れを自然に行えるように問題意識を逆算する必要があります。それが「恥ずかしいことを無かったことにする」です。こうすれば「本気で海外旅行目指してます」みたいなヒロインが登場してもR18シーンを挟めば自動的に問題意識を共有することができるわけです。

しかしながら、これはあくまでも主人公たちの目標であって、メタ視点から見た物語のゴールではありません。だって、このまま「すごく頑張って優勝したぞ! 都合の悪いことは全部無かったことにしたぞ!」では、何も面白くありませんよね? つまり、恥ずかしいことが起こったのは単に主人公たちが問題解決を目指したきっかけに過ぎず、彼らが解決すべき問題は他にあるわけです。
今回の物語では、主人公たちが真に解決すべき現状の問題は「自分たちが幸せになれないと考えている」ことです。したがって、この物語のゴールは「主人公たちが幸せになりたいと強く願い、幸せを掴む」ことであり、要するにハッピーエンドしか勝たんということです。

ここまで考えたら、あとは細かな設定を考えます。ここでも設定はなるべく共有したいのでアドベントや聖誕祭、それから「決戦!星の古戦場」や「異常性癖」といった鉄球連盟関連のキーワードをベースにして考えました。具体的には「異常性癖……異常……せいへきせい碧星碧星……碧星……」みたいな感じです。碧星祭の内容をモンスター討伐とアイテム採取のどっちにするか迷いましたが、モンスター討伐にすると戦闘シーンが必要になりそうだったのでやめました。

さて、あとは1〜4話の展開を考えるだけです。実際に私が担当するのは1話のみですが、プロットを考える上で2〜4話の展開もいくつか想定したので紹介したいと思います。

物語のゴールが「幸せを掴むこと」なので、何を願うかはさておいて、まず大量の星粒が必要です。しかし、これ自体が物語のゴールというわけではないので、4話の最後でやっと集め終わられても困ります。順当に考えると3話ですが、2話〜3話の間で星粒を集め終わるのはやや無理があります。宝石なら大きな原石を見つけることもあるかもしれませんが、星「粒」である以上、一箇所に大量にあったら普通に怪しいですし物語性もありません。

敵キャラと賭けをして勝った方が総取りみたいな契約を結ぶのも「だったら星粒集めじゃなくて最初から殴り合いのバトル設定にすればいい」という話になります。つまり2話でいきなり大量の星粒が登場してそこから話を広げるか、4話まで結局集められなかったけど土壇場で主人公のお気持ちに反応して不思議なことが起きるかの選択となります。

それを踏まえて、2話はこんな感じでしょう。

〈碧星祭で優勝すれば良い子になれます。良い子になれば良い人生が待っています。さあ、あなたも星粒を集めましょう!〉


 ダンジョンの入り口から、楽しげな校内放送が聞こえてくる。


「バカバカしい……」
 足下を調べ歩きながら獣のような耳を頭の上につけた少年がつぶやいた。


「晴石! 口じゃなくて鼻を動かせ!」
「そうだ!」
「そうだぞ!」
 そっくり同じ顔、同じ明るい色の髪を同じくサイドテールにした少女たちが少年に檄を飛ばす。


 晴石は獣化の異常(先天的に習得した魔法のうち、本人の意思で中断・終了できないもの。狭義には異形型のみを指す)を持っている。小学生と見間違えるような体格の晴石だが、この異常によって筋力と敏捷性は学年トップのステータスを誇る。加えて五感も鋭く、探し物には打ってつけの人材といえた。


「朝瀬、やっぱりメンバー増やそうぜ」
 晴石は顔を上げ、少女たちにそう呼びかけた。獣化の異常を持つ晴石と分裂の異常を持つ朝瀬は、まさに「探し物に向いている」メンバーだったが、人手不足感は否めない。ただでさえ常時発動している異常をずっと酷使したせいで、すでに2人とも魔力が尽きかかっていた。


「それが無理だったからこうやって2人で潜ってるんだろうが!」
「あんなことがあった後でパーティ組んでくれるやつなんているか!」
「分かったらさっさと星粒を探……」


「あ、あの……」
 次第にヒートアップする2人を窺うように、(追加ヒロイン)が声をかけてきた。


▶︎ ▶︎ ▶︎ ▶︎ ▶︎


(追加ヒロインとパーティを組む)


▶︎ ▶︎ ▶︎ ▶︎ ▶︎


(R18シーンが入る)


▶︎ ▶︎ ▶︎ ▶︎ ▶︎


(追加ヒロインと碧星祭のジンクスを共有する)
(今日の星粒集めを終了し、朝瀬と追加ヒロインが帰る)


▶︎ ▶︎ ▶︎ ▶︎ ▶︎


〈……祭で………れば良い…になれ…す。…い子になれば……人生が待……います。さ……あな…も星…を集…ましょう…〉


 遠く離れたダンジョンの入り口から、微かに校内放送が聞こえてくる。


「バカバカしい……」
 ドローンカメラでも何も見えない暗がりで、晴石はぽつりとつぶやいた。


 その声に反応する者は誰もいない。


 夜目の利く晴石なら暗闇でも星粒探しに支障は無かったが、しかし足元には目もくれず、真っ暗な狭い道をどんどんと進んでいく。やがて、大きな部屋のような空間にたどり着いた。晴石は立ち止まると、ポケットから今日見つけた数個の星粒を取り出し、無造作に床に投げ捨てた。


「……だってこれだけ集めても、俺の願いは叶わないんだから」


 碧色の星粒が床を覆い、天井に届きそうなほど集められた部屋を後に、晴石は吐き捨てるようにつぶやいた。

このような展開にすることで、素直に奇跡を信じている朝瀬と奇跡を信じない晴石の対比関係ができますし、星粒とか碧星祭とかよく分からない設定なんか全部忘れて晴石の心を朝瀬が絆すだけの分かりやすい話にシフトすることができます。ここまで畳めば、後は2話かけて晴石の心変わりの過程を描写するだけです。カプチーノさんは書かなさそうですけど、私が想定する中ではこれが最も安全な展開だと思います。

各話の引きを考慮しつつこの後の展開を考えると、3話は晴石の心理描写から入ってダンジョン内でピンチになったところまで、4話では引き続きピンチの状況で諦めかけた晴石を朝瀬が救い、晴石が心変わりすればあとは星粒パワーで奇跡を起こしてハッピーエンドといった感じでしょうか。

4話構成は言い換えれば1話の時点で最終話の3話前なわけですから、2話以降は話を展開するというよりは畳むことがメインになると思います。まあ、実際カプチーノさんは設定増やしそうですけど…… それから、2話で大量の星粒が登場する展開にもならないと思います。その場合でも「ダンジョン内を巡回するドローンが朝瀬の話を中継し、その熱量(?)でダンジョン内の星粒が反応」とか「星粒かと思ったら赤い花の実で絶望したけど、赤い花の実に涙がかかって本物の星粒に変化」というような展開が考えられるように小道具を配置しているのでそうそうバッドエンドにはならないと思います。

4話はこんな感じでしょう。

 晴石は赤く染まった視界の端で、自分の右腕だった肉塊を貪る魔獣を眺めていた。


 (追加ヒロイン)はとうに気絶し、朝瀬に抱えられたままだらりと倒れている。
 朝瀬も分裂の異常によって大きな欠損こそ無いものの無数の傷口からは今も血が流れ出し、息をするのもおぼつかない様子で(追加ヒロイン)の肩を必死に揺すっている。


「……無理なんだ、やっぱり」


 乾いた舌で血の味を感じながら、晴石はぽつりとこぼした。
 晴石の声に反応した魔獣が肉塊から顔を上げ、次の獲物に狙いを定める。


「俺は、幸せにはなれないんだ」


「違う!」
 晴石を庇うように前に立った朝瀬はふらつきながらも武器を構え、眼前の敵をしっかりと見据えた。


「私たちは、ようやくここまで来たんだ。いろんなことがあったけど、その度に仲間が増えて、今、ここにいる!」


 口元を真っ赤な血で染めた魔獣が、悠長に歩み寄ってくる。朝瀬は手のふらつきを抑え、真っ直ぐに切っ先を魔獣に突きつけた。


「──そしてこれからも、私たちは何度だって強くなって、必ず夢を叶えるんだ!!」


 魔獣が朝瀬目掛けて大きく飛び掛かる。
 同時に朝瀬は3人に分裂すると3方向に分かれ、全員で魔獣に攻撃をしかける。


「異常者でも!」
「良い人間じゃなくても!!」
「何度間違えても!!!」
「「「私たちは、絶対幸せに生きるんだ!!!!」」」


 晴石には、その一瞬が走馬灯のようにゆっくりと輝いて見えた。


 朝瀬はまだ諦めていない。きっと数瞬の後には魔獣の口元を照らす血に変わってしまうのに、その後ろ姿にどうしようもなく希望を抱いてしまう。




 瞬間、視界が碧色に輝いた。




 魔獣は後方に跳んで朝瀬の攻撃を躱すと、身をかがめ、なおもこちらを食らおうと鋭く眼光を光らせている。


「そうだったな」
 晴石はよろけつつもしっかりと両足で立ち上がり、左腕で剣を構える。その瞳は碧色の光をたたえ、真っ直ぐに前を見つめている。
「ここで死んだら、あのビデオが遺影になるところだった」


「そうですよ」
 いつの間にか意識を取り戻した(追加ヒロイン)が晴石の後方、いつもの戦闘陣形に戻ると回復魔法の詠唱を始める。


 味方は満身創痍で、状況は相変わらず絶体絶命だ。けれど、不思議と負ける気はしなかった。これからやりたいことがいくつも思い浮かんでは、肩に、脚に、胸に溶けて力に変わる。


 朝瀬はちらりと振り向いて一瞬だけ、いつものように不敵な笑みを浮かべると、すぐに前方を向いて高らかに宣言した。


「私たちは、勝つ!」


 その言葉はきっと真実になると、心が告げていた。



(エピローグ(優勝!!))

以上が、私が考えるベストな物語の展開です。想定解と言ってもいいかもしれません。

あと小説を書く上で気をつけるのは細かい文法事項とかですね。段落の最初は空白を入れるとか、感嘆符や疑問符の後に文章を続けるときも空白を入れるとか、3点リーダは偶数個使うとか、そういうのです。あんまり細かいこと言うと謎マナーと変わらないし別に守らなくてもいい(というか私も知らない)んですけど……

一番何を書くのか分からないのがカプチーノさんで、もしかしたらダンジョン関係なしに学園ものを書くかもしれないし、急に部活ものが始まって異常性愛好会とか作り始めるかもしれません。異常性愛を公開するのは自分だけにしてくれ…… 両性具有展開にするためだけに万能魔法使いキャラを出されるなどすると展開が全部壊れるので止めてほしいです。

すてぃあさんがどういう話を書くのかも怖いですが、肉体的に傷つけるだけなら多分大丈夫ですし、トゥルーエンドを見せてやるみたいなことを言っていたので多分終わり方も考えていると思います。この物語の終わりはハッピーエンドと決まっているので(伝わってさえいれば)。特にすてぃあさん対策として、痛みで心が折れないように反抗的な性格のキャラ(片方は擬似不死)を用意したので大丈夫なはず。

ゆかりおんさんは主人公の情熱パワーで大逆転ハッピーエンドに到達するストーリーが好きそうなので、すてぃあさんが想定より猛威をふるっても何とかしてくれると思っています。そのために星粒集めルールにしてエネルギー源も確保しました。このメンツの中だと一番話をまとめようとしてくれそうですし、読書量から考えてもラストに最も相応しい人だと思います。

あと考えていたことは場面転換の「▶︎」×5が最後に「★」になったら良い……良くない?とかそれくらいです。

それでは実際の物語がどのような展開になるのか、私の考えていたことは彼らにどのくらい伝わったのかにも注目しながら、絶対に見届けてください。